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農作業学会で記念講演

  • 執筆者の写真: sandayu9
    sandayu9
  • 2019年3月22日
  • 読了時間: 2分

3月22日、日本農作業学会で講演した。

備忘録。

先進国農業は新興国の挑戦にどう立ち向かうか

 先進国の農業は、かつてないチャレンジに直面している。温暖化、土壌の劣化、耐性病を獲得した病害虫や雑草という地球規模の課題に加え、新興国からの挑戦にどうやって立ち向かうかという足元の問題も抱えている。近代的な技術、整備されたインフラ、豊富な資金を背景に、米国や欧州は国際貿易の場でも通商交渉の場でも独占的な地位を保ってきたが、21世紀に入るころから大きな転換点を迎えた。  かつて大量の穀物輸入に依存していたロシア(旧ソ連)は、一昨年から世界最大の小麦輸出国にのし上がった。世界の油脂貿易は、1億トンの大豆を輸入する中国と南米が主導権を握り、米国は脇役になった。高度な技術が必要とされ先進国が圧倒的な優位を持っていた花き生産で、ケニア(バラ)、マレーシア(菊)、コロンビア(カーネーション)が世界の市場で先進国産地を駆逐しつつある。  最新鋭のトラクターやコンバイン、遺伝子組み換え技術はタイムラグなしに新興国に導入される。ドローンや衛星を利用した農業技術は、パリ近郊でもブラジルの奥地でも全く同じ条件で活用することができる。大消費地が遠いという新興国の弱点は、港湾設備、高速交通網、低温輸送の整備で大きく改善された。30年前には国際市場から切り離されていた新興国の農業の情報は、IT化で瞬時に市場に伝わる。逆方向の情報も同じだ。  行き先を失っていた大量の投機資金が、2006年から始まった食料価格高騰で新興国に流れ込んだことが農業の近代化を後押しした。  欧米の先進国農業は、新たな挑戦者を前にして戦略の見直しを迫られている。米国はスマート化を推し進め、より筋肉質になることで追い上げる新興国を振り払う効率化戦略を描く。一方の欧州は自らのブランドを確立し農産物の付加価値を高めることで、将来にわたって競争力を保つブランド化戦略を採用する。その武器となるのは地理的表示保護(GI)だ。  世界で新たな競争軸が登場する中、日本も新たな戦略を描くことが求められている。ほとんど意味の無い農産物輸出拡大や、企業に期待する「強い農業」では未来は切り開けない。納税者の理解を得た上で農業政策を大きく転換し、農業が国民にとって欠かすことのできないものにすることが必要だ。欧州の戦略を参考にしつつ、日本独自の道を探ることが求められている。


 
 
 
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